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介護職不足問題の回避は「シンプルな介護に回帰すること」

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現在、介護職は不足しています。特に特別養護老人施設では介護度3以上の人だけでも、待機者10万人をこえています。

 

安倍首相が提唱した介護離職ゼロに関連して、特養施設を増設する施策はすすめられていますが、肝心の職員に関しての施策は遅れていると思われます。

 

少子高齢化が進行しており日本の人口構造から考えると、今後、介護需要と介護職供給のギャップはますます増加していくと思われます。

 

この介護職不足によって何が起こるか問題点をあげたいと思います。

 

 

職場環境の悪化による更なる人員不足

一つ目は、職場環境の悪化による更なる人員不足が考えられます。

 

人員不足に陥ると個々の職員の容量を超える仕事を捌く必要があり、利用者に対しての配慮が難しくなります。同時に数か所注意することは人として物理的に限界があります。

 

また、恒常的に過剰な作業負荷は、精神的に悪影響があり、常にイライラしたりするようになります。イライラしていると、周囲の人間に対しても攻撃的になり人間関係が悪化しやすくなります。

このように職場環境悪化が進むと、離職が増え、熟練職員が離職する事で効率が落ちるといった問題にもつながります。その結果、さらに一人あたりの作業量が増えます。

 

割りにあわなくなり、敬遠される職場となってしまいます。ただでさえ高齢化の需要増加もあり人不足になりやすい環境化ですので、一度人不足環境悪化ループにはいり始めると回復が困難です。

 

 

利用者への虐待

二つ目は、利用者への虐待が増えます。安全な生活を脅かされる原因となります。ストレスをためた職員は、利用者に対しても攻撃的になるため、ちょっとした事がきっかけで虐待がはじまってしまいます。

 

人数が足りないため他職員の目も届きにくくなる事や人不足で職員の資質の選別が難しくなる事もあり、また、認知症率の増加などもあり、発覚が遅れ、深刻な問題となる可能性があります。

 

 

核家族・少子高齢化など社会的な問題

三つめは、社会的にも問題があります。核家族化と少子高齢化の人口構造によって、介護離職による経済損失や、老々介護が進み、家庭破たんなどといった問題にもつながります。

 

介護職が人不足になりやすい原因は、待遇に比べて仕事量作業量や負荷が多い事です。

 

現在、介護職に報酬を増やす事に関しては、政府でも色々検討されています。しかし、少子高齢化を考えると、介護に関して一人あたりの負担増加していくと思われ、長期的な視点では困難だと思われます。それ以上に、仕事の負荷、サービス内容を見直すべきだと思います。

 

 

仕事の負荷を増やす最大の要因は「人権」への配慮

仕事の負荷を増やす原因としては、人権配慮があります。もともと、介護には拘束といった問題や虐待といった問題があり、なくすために、介護職や介護施設に様々な制限があります。

 

代表的なものといえば拘束問題。徘徊して転倒する可能性が高い認知症の利用者がいたとしても、拘束対応が出来ません(どうしてもという場合は手続きを行い報告し続ける拘束可能ですが、一時的。施設としては基本的には行わないと思われます)。

 

最初は縛るような拘束だけを対象にしていたものが、コールマットなどやベッド柵設置など安全のための配慮であっても拘束とみなすようになっています。

 

人権意識のややもすると過剰な向上により、拘束の範囲についてはどんどん拡大しており、本来は、公的な設計の段階で人員配置を見直す必要があります。

 

しかし、人権意識の高まりという題目のもとサービスに対するコストが意識されないまま、サービスへの要求が増えています。結果的に、人不足となり、介護職の負荷が増える事につながっております。

 

 

膨大な研修量により増える負担

人権意識と関連して、研修などにも原因があると思います。

 

介護関連の職種では、外部含め、研修や勉強会などを盛んにおこなわれています。内容はどれも、サービスの質を高める方向での利用者を楽しませる、利用者が快適に暮らせるといった方向性、また、医学的な専門性を高めるといった方向性での研修は行われます。

 

これらは、サービスの質を高める方向への意識を高めるものではありますが、量をこなすためには相反する方向にあります。

 

逆に、作業の効率化といった方向での専門性を高める研修というものはほとんどありません。公的な資格に関しても同様です。

 

サービスの質を高めるのは大切ですが、現場で研修知識を還元する場合に、きれいごとが幅を利かせてることとなり、現実的な方向への対応が遅れさせる原因になりやすいです。

 

 

施設内行事とサービスの質に迫る

さらに、サービスの質に関連して、施設での行事について。施設では一般に利用者を楽しませるイベントや行事などを奨励する傾向があります。

 

季節感を出したり、メリハリを感じさせるためのものとして大切なものでありますが、これらのための準備は、日常業務の合間にやるようにしているのが普通です。

 

しかし、もともとの設計として、排泄介助、入浴介助、食事介助などのための人員配置になっています。行事のための練習や飾りつけの作業、企画などを含めた余裕ある人員配置になっていないのが普通です。結果として、業務時間内に作業を終えることはほぼ不可能な状況にあります。

 

 

これらの矛盾を全て受け止める介護職の現場

これらの矛盾を受け止めているのが、現場の介護職となります。現実的にはサービス残業をして、物理的に無理な見守りのフォローを行ったり、恒常的にサービス残業をして飾り物を作ったり、サービス休日出勤をして行事のための練習を行ったりするなどをしています。

 

問題があると思っても、外部研修で分かるようにきれいごとが幅を利かせているため、がんばりが足りないのが悪いと考えやすく、現実的な手当てがされにくい傾向があります。

 

その結果、わりに合わない仕事となり、離職や求人しても人がこないといった現象となり、人不足につながっていますす。

 

 

今こそ諸問題のシンプル化・原点回帰を

上記の問題の原因を解決するための改善策としては、シンプルな介護に回帰する事です。

 

人的リソースや財政は限られています。介護職は生きていく事に必要な介護サービスに集中させるべきだと思います。設計としては、排泄、更衣、入浴、整容、食事に関する介護にリーソースを集中させます。

 

それ以外の行事などのプラスアルファのサービスに関しては、別の職種をあて、目に見える形で負担を利用者に転嫁し、必要かどうか選択してもらう形にする事が大切であると思います。

 

そうすれば、今後、どの施設であっても利用者が生きていくのに安全な生活が確保されるようになります。今後、人権意識が向上して、見守り対応をするための範囲が拡大したり、時間がかかる介護が増えても、ある程度、対応できるだけの人員が確保できます。

 

またサービスの質の向上ではなく同時に効率化に対する意識や知識を研修などで得られるように率先して、公的な資格の内容に盛り込んでいく必要があると思います。

 

シンプルで効率的な介護をめざす事で、施設における介護士不足問題は解決すると思われます。

 

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